世界保健機関(WHO)によると、毎年770万人が新たに認知症と診断され、このペースでいくと、認知症の人の数は2030年までに2倍、2050年までに3倍になる見通し。
日本だけでなく、世界で共通した課題で、各国対策が取られていますが、オランダ・アムステルダムには、入居者全員が認知症という施設「ホグウェイ」が世界から注目されています。
「ホグウェイ」のコンセプトは、「認知症の人が“普通の日常”を送れる村」。
スーパーや映画館、レストランなど、生活に必要なものが全て揃った一つの村として重度の認知症の人たちが、敷地内を自由に行動できる環境です。
また、自分に合ったライフスタイルを選べるため、価値観が似ている者同士で生活ができる仕組みがあります。
例えば、都会暮らし派(Urban)、インドア派(Homely)、芸術や音楽を好む文化派(Cultural)伝統重視の保守派(Traditional)、クリスチャン(Christian)など。そのため、これまでの生活の延長線上で過ごせることが、入居者や家族の満足につながっている。
ナース服や介護服は着用せず、“住民のひとり”として入居者に接します。
もちろんスタッフは認知症ケアのプロであり、例えば買い物の時に財布を忘れても、お釣りが計算できなくなっても、きちんとフォローすることができます。
認知症の人がストレスなく過ごしやすいというメリットがある反面、地域住民との接触がないというデメリットも指摘され、本来あったはずの社会とのつながりが持てないことに、違和感を感じる人も少なからずいるようです。
日本の介護施設で行われている、職員の人たちと一緒に商店街に出て買い物をしたり、近隣の保育園とつながりを持つといった「地域共生」の取り組みも、引き続き大事にしつつ、世界の多様な価値観を受け入れた介護ができると素敵ですね。
ちなみに、横須賀にあるのが「介護スナック」で、「要介護の人たちが気軽に飲みに行ける場所がない」との想いを形にした施設があり人気となっている。もちろん店で働くスタッフは全員福祉施設の職員です。