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恵比寿駅看板騒動に見る、ノイジーマイノリティと戦争ヒステリー

恵比寿駅でロシア語表記の案内表示が、不愉快だとの通報を受け、案内表示を紙で覆っていたニュースがありました。
しかし、JRは「戻すことが妥当と判断」し、紙をはがすという二転三転の出来事が起こった。

日本国内の公共交通機関の多言語表記は、日韓ワールドカップを境に多様化され、世界で一番というほど多言語に対応。

ロシア系でないウクライナやブルガリアにもロシア語が母語の場合もあり、案内板が助かっている場合があります。
またゼレンスキー大統領も元々はロシア語を話し、後からウクライナ語を習得したと言います。

世界各地でロシア系住民が差別や暴力の標的にされており、先月は日本でも銀座のロシア食料品店の看板が破壊される事件が起こった。

海外にいるロシア系住民の多くは長く海外で暮らし、ロシア政府やプーチン大統領とは関係はなく、戦争反対を掲げていますが、プーチン大統領が始めた侵略戦争の責めを受けている。

戦争やテロなどで不安や恐怖に駆られ、誤った行動を取りやすい状態を「戦争システリー」と呼ぶ。
例えば、9.11の時にアラブ系・イスラム系住民に対するもの。
最近では、トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「チャイナ・ウイルス」と呼び、中国に対する憎悪をかき立て、アジア系米国人に対する差別や暴力が急増した。

「戦争ヒステリー」の過去をさかのぼると、第2次世界大戦、真珠湾攻撃の後、12万人以上の日系アメリカ人が「敵性外国人」として住む家を追われ、強制収容所に収容された。

この日系人の強制収容については後に米国政府も過ちを認め、1988年にレーガン大統領が日系人に謝罪し、賠償金を支払った。
またバイデン大統領も最近「米国の歴史の中で恥ずべきことの一つであり、二度と繰り返してはならない」と改めて謝罪した。

にも関わらず、多くの国で今、「戦争ヒステリー」による過ちが繰り返されており、「ノイジーマイノリティ」に惑わされないようにしなければならない。

ノイジーマイノリティとは、主張に裏付けが乏しいのにも関わらず、声高く騒ぎ立てるために影響力が高い集団のこと。

SNSなどのインターネット上から取り上げられるニュースのノイジーマイノリティの場合が多く、インターネット利用者のうち僅か0.5%であるという説があります。
しかし、炎上騒ぎの様子がニュースで報道されてしまうと、あたかも世論であると捉えられかねません。

世界中が反ロシアの集団ヒステリー状態に陥ってしまったようななかで、間違った行動をしないためにはどうすればよいのか。
良い模範を示したのが、日系米国人の強制収容が行われたコロラド州の知事を務めたラルフ・カー氏。

カー氏は当時のルーズベルト大統領を含めほとんどの政治家が強制収容を支持するなかで、「それは非人道的で、合衆国憲法に反する」と公然と反対し、州知事として他州を追われた日系人を受け入れ、彼らの基本的人権が損なわれないようにさまざまな支援を行った。

カー氏がそうしたのは、真珠湾を攻撃した旧日本軍と当時の日本は敵(国)だが、米国市民である日系人は人種的には同じだが敵ではない、と両者をはっきり区別したからである。
今世界各国の指導者や国民に求められるのは、カー氏のような強い信念と冷静な判断力、勇気ある行動ではないでしょうか。

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